
ストレス耐性
アトピー症例の中には自律神経のアンバランスの原因がメンタルな問題であることが数多く見られます。概してアトピー患者さんは「ストレス耐性」が弱いのです。
ストレスとストレス耐性について、右の図1で説明します。ストレッサーというのはストレスの刺激になるものです。ストレスという言葉にはゆがむという意味があり、ストレッサーが加わると図のようにゆがみが生じようとします。これを元の状態に戻す力が「ストレス耐性」です。ストレス耐性とはストレッサーから生じる不快感情を頑張る力、我慢する力、問題解決力です。
こうしたストレス耐性は子どもに対する親の養育姿勢が大きく関与しています。人間の感情を図2「現実対処と情緒体験」により考えてみましょう。1.
の面白いからやってみたいという感情は「快」です。これをやらせることにより実行させると対処後の感情も「快」となります。この場合の対応は「受容」です。
2. については、面白くないからやりたくない(「不快」)、やらなくてもいいと実行させない(「快」)といった対応は「容認」となります。対して3.
は面白い(「快」)けれどやらせてもらえない、実行しない(「不快」)といった対応で「制限」、4. はやりたくない(「不快」)けれど実行(「不快」)させる「強制」となります。つまりAが「快」、Bが「不快」な部分です。ストレス耐性が弱い場合、Aの「快」の部分だけで育てられ、Bの対処行動が身についていない、不快感情を上手に処理できないことが多いのです。
また、あながち家庭だけで責任を負いきれない、つまり社会全体がストレス耐性を身につけていない子どもたちを、どんどん生み出している世の中でもあることもいえます。一つは、情報の手段が映像文化にかたよっているというのも問題だととらえています。
また、教育の問題でもあります。
「ストレス耐性」が弱いまま成長すると心理面での葛藤が多くなります。このことが自律神経のバランスを崩し、ホメオスターシスのアンバランスを引き起こし、アレルギー・アトピーにつながるのです。
自律神経メンタルチェック
自律神経のバランスとメンタルは表裏一体の関係にありますので、その関係をみるための診断を行います。心の内の緊張度、過敏度、抑うつ度、怒り度、不安度をチェックし、それが外部のストレス、ストレスに耐える力、情緒安定、身体症状等に及ぼす影響を診ます。総合的に自殺危険度も判断します。
このチェックはホームページ上のお受けいただけます。チェックシートにお答えいただくことにより、診断結果を郵送でお送りいたします。詳細はこちらへ。
カウンセリングによる支援
アトピーの症状にメンタルの問題が見られる場合は、カウンセリングによる支援を受けることをおすすめしています。図1のようにストレッサーによりゆがみが生じた場合、ストレス耐性が弱い場合は誰かが持ち上げてあげなければなりません。これがカウンセリングによる治療の部分であり、指導の部分です。また、上げたけれども、またゆがんでしまうという悪循環を、何度も繰り返すことがあります。そのために、その部分を太くする作業も必要になってきます。カウンセリングの目的は「ストレス耐性をつけてあげる」ということです。
カウンセリングは、日本ではまだ一般的になっていないため抵抗を持つ方もいらっしゃいます。そこまで深いアトピーで、問題があるにもかかわらず、ここを拒絶されると、単に薬を投与するということだけでは解決しないということがあり、それが成功しない数少ないパーセンテージの中に含まれています。
人間というのは自分のことは自分でよくわからないことがあります。例えば、糸がこんがらがっているとします。それを1本1本、解くという作業が必要なわけです。カウンセリングとは、そういうお手伝いをすることと思ってください。ある程度お手伝いをすると、こんがらがった糸が「こうやれば解けるんだ」と自分で気がついて、解いていく人もます。もちろん、最後まで解いてあげて、真っすぐにしてあげてスッキリする人もいます。すなわち、カウンセリングとは問題解決方法を学ぶこと、支援してもらうことなのです。
カウンセリングの実例から
| 患者 |
男性(20歳) |
| 来院時の状況 |
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| アトピー状況 |
ステージ6(3章参考) しっしん、かゆみがひどい
ステロイド外用剤を中学1年まで継続その後、1ヶ月に1度 |
| 患者状況 |
大学受験に失敗、予備校に登校拒否 |
| 治療法 |
I(2章参考) |
| カウンセリング開始時期 |
来院後10ヶ月後 |
アトピー治療中の会話から、アトピーの原因に家族関係の問題があると判断されたため、カウンセリングの先生を紹介しました。
カウンセリング医は、患者本人が、予備校への登校拒否、アルバイト先への不適応の状況であること、「かゆい、みっともない」とひきこもり、バイト先でも指導されることを怒られたと感じてしまう心理状況であることから、養育の段階での問題を判断するため、両親の面接を行いました。面接により、母親は、患者がアトピー体質であることから甘やかし、受容と容認の対応しかできないこと、父親は患者本人に拒否的な対応で指導ができる関係ではないことがわかりました。患者の家庭環境は、親が予備校の費用は払い、本人に大学に行きたい気持ちはあるものの、勉強はしない、両親はさせようとしない、何も言わず、患者が家に閉じこもり好きなことだけをさせている状況でした。
以上のことから、前述の「ストレス耐性をつけさせる」ための治療に入りました。
まず、自分は一体何をやりたいかということを考えさせました。すると、やはり大学を受験したいという。それでは大学を受験するためには何をすればいいのか。当然勉強はしなければいけない、願書も取らなければいけない、自分の行ける大学を選ばなければいけない、卒業した高校に行って内申書を書いてもらわなければいけない、などをきっちりと指導しました。すると、患者自ら、高校3年生の時の担任の先生に直接電話を入れ、内申書を書いてもらうことに成功しました。このことは本人の自信につながりました。
その後も指導を続けることにより、徐々に自分が何をしなければいけないのかが理解でき、自分の考えていることと行動が一致するようになっていきました。そして、あまりアトピーのかゆみを訴えなくなっていました。
ところが、受験シーズンを迎え、試験の何週間か前になると、またかゆみが始まり、そして逃げようとします。でも、本人はこのことをすでに自覚でき始めていました。
結局、受験には再度失敗しましたが、今度は、両親に、もう1年チャレンジさせてほしいと自分から考えを話しました。そのためには勉強をして、こうするんだと、心に決めることができるようになっており、そして、かゆみは遠のいていました。
アルバイトに対しても、「怒られても、仕事ってこういうものなんだなと思えるようになってきた。」と理解をみせ、「4月から予備校が始まるから、それまでアルバイトはする。そして予備校に行って勉強して、来年こそは大学に行く。もし行けなかったら、別の生き方も考えている」と、将来の目標まで立てられるようになっていきました。
この時期には、本人から、「アトピーは非常に楽になってきたし、かゆみもなくなってきた。治るのではないかと信じている」との発言があり、内に閉じこもっていたのが、非常に明るくなって、外交的になっていました。
性格検査では情緒不安定・内向型でしたが、情緒は安定し、外向型とはいえないまでも、自信を持つことができるようになったことにより、徐々に態度に変化が現れています。
来院から1年3ヶ月。アトピーはステージ6からステージ2へ著効。カウンセリングにより「ストレス耐性」を身に着けることに成功し、自立のメンタルでアトピーを克服した症例のひとつです。
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