
アトピー性皮膚炎での、漢方の見方を右の図により説明します。基本にあるのは「陰陽五行」で、各内臓がそれに対応しています。心臓の心は火、土は脾、今の膵臓(すいぞう)にあたります。金は肺や皮膚のこと。水は、腎水(じんすい)というように腎(副腎を含む)です。木は、肝臓にあたります。さらに漢方の病理はこれらの内臓と関連づけられています(相生相克関係)。図のように、幼児型のアトピーは、胎毒(たいどく)という毒を母親からもらっているため発症します。
また、食事の欧米化とともに、その土の脾(膵臓や胃腸などの消化器)というものが熟を持ち、その熱が血の中に入ってきます「肝胆湿熱型 症例NO○○」。 そしてアトピーが起こる、ということがわかります。これが最近の傾向です。ステロイド剤は、水の腎水を損ないます。そうすると、通常バランスがとれているはずの火がますます燃えさかるためバランスを崩し、火の症状である不眠やかゆみが出てくるというわけなのです「陰虚火旺型 症例NO○○」。 また、日本は非常に湿度が高いのでダニが発生します。そして、風熟というものが皮膚、金にくっつきやすい状態があります。そのため、それがまたアレルゲンとしてアトピーをひき起こします「風熱湿熱型 症例NO○○」。 さらに各臓器が影響を受けてくるわけですが、その時最も影響が大きいのは、この腎臓の水なのです「腎水胎毒型 症例NO○○」。
さらに、現在問題になっているのは木です。木(肝)は自律神経をコントロールしています。木というのは肝臓。肝臓は自律神経の巣です。ストレスがあると、まず肝臓に影響が出ます。肝臓が興奮するのです。興奮して怒りっぽくなりますが、表面には出せないということで我慢します。そうすると、それが内向して火となり、不眠やかゆみという症状に転嫁していく、というわけなのです。成人型は、ほとんどの例が木に関連付けられます「肝うつ化火型 症例NO○○」。 場合によっては幼児もストレスを受けていることがあり、肝うつ化火(かんうつかか)型になっていすることを考えなければなりません。
火と木を治さないでステロイドを使い過ぎると、腎(水)が損なわれさらに火が燃えさかって、不眠やかかゆみがますます強くなる「腎水胎毒(じんすいたいどく)型」。こういう病理が考えられるわけです。代表的なタイプを今述べましたが、これ等は単独に出てくるわけでなく、いくつか複雑に絡みあっています。それをひとつひとつ念入りに絡んだ糸をほぐすように解いてやる必要があるのです。
体質診断チャート
体質を東洋医学的に調べるということは、チャートにより、いろいろな症状を患者さん自身から聞いたり、顔色や舌の色を診たり、脈を診たりして判断します。 次に、体力があるかないか、冷え性か暑がりか、体が乾いているか水っぽいか、また気が滞っているか気の力がないか、血の流れが滞っているか血の力がないか、などを判断するわけです。そして、アトピーの病理に体質をあてはめ考慮して、漢方薬を使用していきます。漢方薬を使用する上では、基本的な体質を調べておかないと逆の方剤を使用することがあり副作用がでてくるのです。自然物ですので中止すると体は元に戻ります。ここの体質診断は、陰陽、気血の分析理論であって五行臓腑論までは含まれていません。
このチェックはホームページ上のお受けいただけます。チェックシートにお答えいただくことにより、診断結果を郵送でお送りいたします。詳細はこちらへ。
陰陽学説
陰(-)と陽(+)の二元論で、現代のコンピューター理論、デジタル理論と同じであり、中国文化の根源をなしており、理論的であいまいさを許さない。これに対し、日本文化は一元論(天皇制を含む)であり、あいまいなファジーな感性であり、和を尊び実際的である。
五行学説
宇宙に存在するすべての事物・事象を「木・火・土・金・水」の五行に分類し、個々の性質や相互の関係を把握する。中医学の生理・病理・病態把握・治療法・薬物なども、歴史的な経緯から五行学説の影響を受けており、無視することはできない。ただし、五行学説ですべてを割り切ることは無理があり、機械的に運用すると誤りを犯す場合も多いと考えられる。しかし、臨床的にも有効な指摘もある。当院のアトピーの場合、初めは意識しておらず、実際の症例を整理していたら五行の学説にピタリとはまってしまったのには驚いている。
| 五行 | 五季 | 五気 | 五方 | 五化 | 五畜 | 五穀 | 五色 | 五味 | 五臓 | 六腑 | 五官 | 五体 | 五志 |
| 木 | 春 | 風 | 東 | 生 | 鶏 | 麦 | 青 | 酸 | 肝 | 胆 | 目 | 筋 | 怒 |
| 火 | 夏 | 暑 | 南 | 長 | 羊 | 黍 | 紅 | 苦 | 心 | 小腸 | 舌 | 脈 | 喜 |
| 土 | 長夏 | 湿 | 中 | 化 | 牛 | 稗 | 黄 | 甘 | 脾 | 胃 | 口 | 肉 | 思 |
| 金 | 秋 | 燥 | 西 | 収 | 馬 | 稲 | 白 | 辛 | 肺 | 大腸 | 鼻 | 皮毛 | 悲 |
| 水 | 冬 | 寒 | 北 | 蔵 | 猪豚 | 豆 | 黒 | 鹹 | 腎 | 膀胱 | 耳 | 骨 | 恐 |
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